• En
  • /
  • Jp
  • 今最も注目されている技術、VRとは?

    2016.11.30
    • Share
    • Twitter
    • Google+
    • はてなブックマーク

    introduction

    はじめまして、マチュー・ゴランです。
    私はコムデの技術開発者です。幾つかの分野で技術開発を行っていますが、担当しているものの1つに、バーチャル・リアリティ(VR)の開発があります。この技術がみなさんにとってどのような形で役に立つかを理解し、コムデで生まれる様々なアイディアを形にすることが私の仕事です。

    私はシステムとネットワークのエンジニアの経験があります。プロのレベルとまではいきませんが、ゲーム開発においてはオキュラスリフトDK2を使っていました。2002年から世界のゲーム開発に興味を持ち、開発に参加したことも数回あります。開発過程に関するツールの知識もあるので、今回は企業と私自身双方にとってテーマをより深められる機会となりました。

    目次

    ・バーチャルリアリティ「VR」の歩み
    ・VRが生み出す「センス オブ プレゼンス」体験
    ・VRを体験するために必要なオススメ機材
    ・コムデのVRプロジェクト
    ・今回使ってみた機材について

    バーチャルリアリティ「VR」の歩み

    VRは長い間、先送りされていた夢でした。ハードウェアが遊んで楽しめるレベルには達していなかったからです。
    しかし、スマートフォンの研究が進み、液晶ディスプレイの小型化が成功したことで、不可能を可能にした人物がいます。
    その人というのが、クラウドファンディングを経て2012年にオキュラスを設立したパーマー・ラッキー氏です。
    その後、オキュラスは、facebookに20億ドルで買収されました。
    オキュラスから最初に公開されたモデルはRift DK1(DK=Development Kit、開発キットの意)と名付けられ、このモデルのおかげで、一般の人々もVRを体験できるまでにそう時間はかからなくなりました。ただ、必ずしも満足のいくものとは言えないものでした。液晶画面の解像度は低く、待ち時間は非常に長く、ヘッドポジションも空間的にトラッキングされない、専用のコントローラーがない、など、まだまだ課題は残っていました。
    2台目のモデルDK2では、空間的なヘッドポジションのトラッキング機能を搭載し、液晶と待ち時間を改善しました。それでもまだ、販売できる段階ではありませんでした。

    • Development Kit 1 (DK1)

    • Development Kit 2 (DK2)

    Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/Oculus_Rift

    DKシリーズがファンやゲーム開発者へ向けて発表された当時、まずはそれをどのように使うかを学ばなければいけませんでした。どのような失敗を避けるべきか、どの技術を実装するかなど…
    また、長い間開発者が改善に苦戦したのは、プレイヤーたちがVRのプレイ中にすぐ気分が悪くなってしまうという問題点でした。
    この「乗り物酔い」のような現象は、脳と内耳がどのように現実を経験するのか、目がVRの内容をどのように見るかとの間に相違がある場合に起こります。目では周りの世界が動いているのを見ているのに、脳がそのように感じない場合、船酔いと同様の現象が起こります。逆の場合もそうです(船酔いでは、ボートが動いているので内耳はそれを感じますが、目が見ている船内の様子は動かず一定であるため、知覚の不一致が生まれます)。
    微妙な時間のずれも乗り物酔いを引き起こすことがあります。脳との近くの不一致を解決するには、全ての物事が一致している必要があり、そのためには、画質よりもずっとパフォーマンスが重要なのです。

    VRが生み出す「センス オブ プレゼンス」体験

    VRのゴールは「プレゼンス」と呼ばれるもので、実際に仮想の世界にいるように感じ、体が現実の世界にいることを忘れてしまうような状態のことです。プレゼンスまで到達するのはDK1では難しく、DK2ではごくまれに体験できるようになりました。 最新のモデル(オキュラス・リフト・コマーシャルリリース、HTC Vive, PlayStation VRなど…)では、最先端技術を用いて開発されたゲームと体験により、常に可能となりました。

    今のところ私たちはコンピューター上のVRに焦点を当てていますが、今後は携帯電話やコンソールなどの、その他のハードウェアにも取り組んでいきます。

    VRを体験するために必要なオススメ機材

    VRは、開発とプレイの双方において、ホームユーザーには高い投資となるハードウェアが必要になります(トラック機能の付いた二つのコントローラーがあるHTC Viveでは10万7784円、リモコンのオキュラス・リフトなら599米ドル、VR対応のコンピューターは最大15万円程度です)。
    今のところ、Appleのコンピューターは非対応(オキュラスによればアップルは技術面ではかなり遅れを取っているとのことです)で、VRを使用できるノートパソコンはほとんどありません。
    ですので、最新のwindows(7以上)が今のところ最優先のターゲットとなります。

    近年のコンピューターの性能・ドライバの双方におけるグラフィックカード技術の進化のおかげで、最新型(NVIDIAで言えば、現在のところGeForce GTX 10世代です)ではより高品質なコンテンツを、より良いコンディションで楽しむことができるようになりました。
    以前の型(GTX970など)でも、より安い価格で満足のいく体験は得られますが、アップグレードを考えているなら最新型がおすすめです。
    プレイしようとしているゲームや興味のある体験に応じて推奨されるハードウェアを探してみるといいでしょう。無料のスターウォーズゲームTrials on Tatooine」であれば「GeFore GTX TITAN X」がおすすめです(GTX 1080ではさらに質の良い体験ができます)。モデルとゲーム、体験に応じて、VRは座っている状態か、またはあらかじめ設定された限られたスペースの仮想空間を歩き回る、という二つの方法で楽しむことができます。

    紹介記事:http://www.theverge.com/2016/7/16/12205584/star-wars-virtual-reality-trials-on-tatooine-ilm-xlab
    紹介動画:https://www.youtube.com/watch?v=koBt4Kfb4Zw

    COMMUDE’s VR project

    開発を始めるにあたり、まず私たちは簡単なプロジェクトから始めよう考え、オフィスの一つの階をVR上で体験できるようにすることに取り組みました。
    開発には二通りのやり方がありました。3Dの再構成と写真測量です。
    写真測量を行うという私たちの試みにより、精密さが十分でない3Dメッシュが出てきました。さらに測量の結果は、私たちが世界と意思の疎通を図るには限界があるものでした。
    しかし実際に始める前に、使用するハードウェアとソフトウェアの両方を選ぶ必要がありました。

    今回使ってみた機材について
    VRヘッドセット

    今回私たちはHTC Viveを選択しました。オキュラス・リフトが着席のゲームにのみ対応しているのに対し、二つの使い方ができること、まだオキュラスには装備されていないトラックコントローラーに対応していること、すぐさま投機と企業使用において大きな支持を得たこと、他のユーザーにもトラッキング技術をオープンにしたこと、そしてさらに重要なのが、すぐに手に入るものだったことが理由です(私たちは近所の店で購入しました)。
    オキュラス・リフトなどの製品は機能が不足しているというわけではないのですが、フランスのことわざ『難しい作業ができる者は簡単な作業もできる』という言葉にならい、今回はそれらを考慮してHTC Viveを選びました。

    ゲームエンジン

    多くの人が、「ゲーム」という単語が付く言葉は不真面目なものだとか、取るに足らない遊び目的にしか使われないと考えています。しかし、現在のゲームエンジンは建築やデザイン、モーションピクチャーズやさまざまな種類のアート、ライブパフォーマンス、プロトタイピング、さらにVRにも使えるほど十分に柔軟なエンジンです。UnityUnreal Engineが素人とプロの両方で近年一番多く選ばれています。他のエンジンはエッジケースや完全自社開発に使われています。

    私たちは最終的にUnreal Engine4を選びました。その理由は、コストが安く(無料で使え、開発者やインターネット上からたくさんの無料のアセットを入手できます)、使用も習得も簡単(たくさんの公式、非公式のチュートリアルビデオがあり、グラフィックプログラミングを使って試作することが可能です)、さらに人気があること、サポートしているプラットフォームが幅広いこと、全部の C++ソースコードに無料でアクセスできることと、また必要に応じてそれを編集できることです。

    ミドルウェアと補足ソフト

    ゲームエンジンのエディターの機能だと、今のところ3Dモデリングツール、テクスチャ作成ツールや開発環境を備えたものがなく、製品をつくるのにあたり、必要な全ての物をまとめ上げるということができません。
    私たちは3Dモデリングにブレンダーを選びました。これはフリーオープンソースツールで、非常に進歩したワークフローを行うことができます。これまで長い間、習得が難しいとの評判でしたが、近年発表されているものはより使いやすくなっています。
    私たちが評価しているもう一つの製品は、最近多く使われるようになってきたソフトウェア、Substance Designerです。これを使うと、手順的ワークフローを通じた(多かれ少なかれ)簡単なインストラクションの組み合わせに 基づいた構造を作り出すことができます。
    物質は一つの構造だけで成り立っているわけではありません。例えば、シンプルに白く塗られた壁は平面の「白っぽい」色をメインの構成として持っていることになります。しかし、同時にゲームエンジンがチップセット内でのシェーダー計算を通じ、よりリアルな外観を実現するために詳細を変えられるようにするための「ごちゃごちゃした」法線マップ(高低指標)も構造要素になっているのです。
    より複雑な面ではさらに多くの構成要素がを持っている場合があります。基本のテクスチャと法線マップに加え、UnrealEngine 4(そしてUnity 5)の典型的なPBR(物理ベースレンダリング)のワークフローにおいては、私たちは層を使ってどの部分が金属かを示したり、反射率を示したりできます。ふさがれたセクションに使うこともできます。そしてSubstanceDesignerはこのプロセスを大幅にスピードアップすることができるのです。パフォーマンスがVRのカギだということは胸に刻んでおかなければなりませんが、計算の複雑さを制限しなければならないのです。

    今のところ開発環境は必要有りませんが、windowsのプラットフォームではUnreal Engine4はマイクロソフトのVisual Studio(最新版は2015年)と融合するように設計されています。

    • Blender

    • substance designer イメージ

    ハードウェア

    最終的に長く使えるコンピューターにするためには、高性能のグラフィックカード(GeForce GTX 1080)、ちょっとした計算など幅広いタスクに対応できるスピーディーな処理プログラム(Intel Core i7 6700K)、そして多くのメモリーを必要とする複数のアプリを同時に使えるようにするためのたくさんのメモリーが必要となります。 ストレージに関しては、私たちはOSとソフトウェア用に250GBのSSD、より大きいまたは使用頻度の低いデータを保存するために3TB HDDを購入しました。 熱とノイズを最小限に抑え容器もこざっぱりとしたものにしつつ、こうしたハードウェアを維持するため、私たちは高品質のモジュール式電源装置オールインワンの液体冷却ユニット、ケーブルをマザーボードプレーンの後ろに通せるようにするためのパソコンケースを購入しました。必要ならば後からファンを追加する事も出来ます。 経費を節約するために、私たちはパソコンをオリジナルで作りました。 出来上がったマシンは中古販売店大手が提示する価格よりも安く、より高品質の部品を選ぶこともできました

    • GeForce GTX 1080

    • Intel Core i7 6700K

    • PC イメージ

    to be continued…